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結局のところ俺は孔明先生と呼ぶことで落ち着いた。孔明さん、といった感じだ。一方で孔明は龍と呼ぶ、お似合いな響きだって気がするだろ。
突然現れた人物を厚遇する、それもお友達を。そのせいで宿将の一部が反発してしまう。あまりに高すぎる地位を与えられたらしい。
「散護忠将軍仮節監丞相府諸軍事中郷侯か。ながったらしい名前だな」
龍将軍ってのがしっくりくるよ、島将軍でもいいが。
廖紹から説明を受けた。丞相府の軍事司令官たる将軍で指揮権があり、護忠という識別を与えられたそうだ。ついでに下馬して挨拶をしなくてもよいなどの、特権つきの待遇が別途付与されているそうな。
丞相府の司令官、つまりは国軍司令官だ。国防大臣の幕僚に任命されてしまった。そのうえで領地まで宛がわれてしまった。
これじゃ皆が穏やかじゃないさ。三国志の時代か、俺は一体何をしたものかね。
「なあ廖主簿、今国には何が足りない?」
いきなり地位が逆転して廖が部下に配されていた。主簿とは事務次官、つまりは文官の長官にあたるらしい。俺がすべき事務を全て任せてしまっている。
「あらゆるものが足りませんが、最たるのは人でしょう」
「武将も人口も、か」
「左様です。食べていければ流民が集まりもするはずですが」
空は曇りがちというか、鬱蒼とし過ぎていて農作物は収穫量が少ない。開墾するには人手が足らないわけか。
ま、悪循環というのはどういうものにでもあるってことだ。
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