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◇
長安城執務室、北伐が興る前の一時期に戻ったかのように側近の数が増えてきた。賑やかになったなと言うのが印象的だ。
呂軍師だけでなく、董軍師にも同席させてまずは石苞を紹介する。
「近所で拾ってきた、中々見どころがありそうだと思ってね」
おちゃらけて部屋のど真ん中に立たせて、俺はいつもの席に腰を下ろす。流石に上級者が居ると解ってか石苞も大人しい。
李項が部屋の隅に控えるのをみて不思議がってる。そりゃそうだろう、偉いと思い込んでいた将軍があんな隅っこで警備をしているなんて普通は思わん。
「石苞殿、島将軍の陣営警護、よろしく頼みますよ」
丁寧に呂凱が自己紹介した後にお願いする。そんなものは命令しておけば死んでも知らんというのが現在の常だ、驚きっぱなしなのが面白いなあいつは。
「算術が出来ねば軍事でも不利になる、石将軍は私の学府へとお通いなされ」
董遇に言われ、ぐうの音も出ないのかしぶしぶ頷く。人生の足しになればそれでいいさ。
「今日は他にもやって来るからな。茶でも飲んで待つとしようじゃないか。そう言えば留守中に報告はあったか?」
平時の執務で急ぎなんて無い、時間は思いのほか緩やかに流れるものだ。
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