三国志蜀の中原制覇編(220年代

348/1235
3304人が本棚に入れています
本棚に追加
/2453ページ
◇  低地山脈、木々が生い茂りけ獣道が申し訳程度にある。蒸し暑さは草木が吐き出す水分のせいだろうか。  空は雲が半分、青空が半分。濃い緑の匂いでむせ返りそうだ。  一度離れたら連携はまず無理だなこれは。互いを見失わない様に戦うか、最悪先ほどの代城に戻るにしても敵が分散しては追い切れない。 「魏がこのあたりを制圧できなかった理由に、決戦場が少ないというのが御座います」  赫将軍が同じことを考えていたのか、そのように経緯を説明してきた。  軍同士の戦いは勝敗を決するのに少なからず場所と言うのが求められる。互いを認識してぶつかり合う広さが無ければ戦いにならない。  後世のような隠密の戦いはあったにしても、情勢を決定的にするには未だ弱かった。情報の伝播が遅く細いので、対抗策を用意する時間差が出来るからだ。 「逆にいうなら本陣は薄い。見付けさえすれば勝機はある」  異民族であって盗賊ではない。見た目は同じかもしれないが、扱いを間違えてはいけない。それに時代もだ。 「私は首領に勝負を挑もうと考えております」 「名乗りをあげてか……」
/2453ページ

最初のコメントを投稿しよう!