三国志蜀の中原制覇編(220年代

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◇  夜間だと言うのに寝所に伝令が大慌てでやって来る。上に衣を羽織るだけで直ぐに寝台のところへ招き入れた。  目を腫らした兵、赤の旗指物がやけに乱れている、こいつは大事が起きているぞ! 「報告致します! 魏軍が荊州方面より大挙して侵入してきております!」  大雑把な第一報、だがそれだけに価値がある側面もあった。 「お前はもしかして?」 「はっ、李項将軍の手の者です! 荊州より雍州南東へ侵入、長安南を通過し漢中へ向かっている模様」  うむ! 李項の奴は無事で、こちらの動向を把握しているわけだ。長躯して一睡もせず事の次第を伝えに来たか。だが今しばらく我慢して貰うぞ。 「魏の主将は」 「中軍大将軍都督中外諸軍事仮節鉞曹真です」  負けて昇進するとは魏も末期症状の同族経営だな。しかしそれに対抗出来ねば認めたも同然だ、寥化はともかく魏延ならば側背を攻撃するだろう。 「規模は十万か二十万あたりか」  それ以上になると後方基地として長安周辺を攻める必要がある。長距離の輸送は出来ないぞ。 「漢中方面に十万、涼州方面に十万、永安方面に十万です」
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