三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 咳込んでから深呼吸して息を整える。落ち着くまで黙って待ち、こちらを向いたところで口を開く。 「趙将軍は?」 「鎮東殿は武都郡の下弁県に本営を置いておられます。夏侯楙の牽制も行えるように、中間地域に軍を進めてのこと」  だろうな。涼州は夏侯楙で、こちらが曹真か、すると永安方面はまた夏侯尚って三点セットってわけだ。  それにしたって三万では正面決戦など出来ようはずもない、糧道の攪乱に暗夜の奇襲くらいしかな。 「長安方面の情報は無いか?」  あちらも攻められてはいるんだろうが何も聞こえてこない。もしかして陥落している? 「城門を閉ざし時機を見計らっております。雍州刺史は不在、各地がバラバラに抗戦を」  各個撃破を待つのみか、孤独な籠城では士気の低下が著しいぞ。何とか入城して統率を得たいが、このあたりの情勢も解らずに突っ込むわけにも行かん。  魏延に連絡が取れれば明らかになることが多いだろう。あいつが北部全域をカバーしてくれれば良いが、涼州に押し込まれているならばそれも難しい。  つまるところ劣勢は悪循環するというわけだ。
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