三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 謂水の北側わずか十キロ、『張』『左』の軍旗を中心にして『韓』『程』などの諸軍が連なっている。その北側山沿いには蜀の騎兵団が距離を隔てて待機しており、いつでも突撃可能な態勢を維持していた。  西側からは魏延の率いる涼州軍、それに加えて趙雲が関西軍をまとめ、陳倉の兵もこれに従っている。河の南には馬金大王の南蛮軍が、いつ声が掛かるのかと様子を窺っていた。 「大包囲網だな呂軍師」  囲んでいる側が少数なんだが、勢いは間違いなくこちらにある。総大将が逃げ去って、主将は負傷中、補給も途絶えていて身動きが出来ない状態だ。  追い詰めすぎると良くないが、ここで全滅させておかねば差が詰まらん。 「糧食がなくなるまで包囲していたいところですが、荊州からの魏軍の侵入を警戒する必要があります。それに漢中で敗残兵をまとめてもう一戦との雰囲気も」  誰が呼びかけているのかまでは不明だが、散った兵士を集めている将がいるらしい。もし数万が集えば漢中がまた危険に晒される。  荊州からの軍を止める為にも要塞を置きたい、やはり時間が欲しい。ここは短期決戦をすべきだ。
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