零章 「ダンジョン」

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「注意事項とはいったいなんだい?」 「と、その前にタバコに火をつけさせてくれ」 テーブルにあった灰皿を自分のところを持って来て、胸ポケットからタバコを取り出す。 片手で箱ごと軽く振り、頭を出したタバコを口に加えた後、何事もなかったかのように箱を胸ポケット収め、どこから取り出したのかライターのヤスリを擦る。 ヤスリは火花を放ち、気化したライターオイルに引火する。 ライターの先から出る炎をタバコの先に近付ける。 ゆっくりと息を吸い、ライターの火からタバコに引火させる。 ライターを離し、タバコをゆっくりと吸う。 口に含んだ後、舌でその煙を転がしながら、風味や微かな味を楽しみ鼻から深く息を吸い、煙を肺へと送る。 そして、満足したところで空中へと吐き出す。 「さて、注意事項のことなんですがね」 タバコを加えながら、これから起こること、しては行けないことを説明し始めた。 「ダンジョンは各階層毎に出口しかない。つまり、一度入れば攻略するかリタイアといって空中に投げ出されるしか地上には基本帰れない。リタイアするには入ってきた入口に行けばいい。だが、そのまま空中さ」 ダンジョンに入ってきた者は逃がさず、逃げた者には無慈悲にも自力で生き残れと言わんばかりだ。 「そして、ダンジョンは基本外部から来た者を殺しに掛かる。仕掛けだったり、モンスターだったり…銃火器の仕様は認められてるしアビリティズに、関してはその能力の行使を。そして、これだけは守って欲しいんですけど…」 ジーンは一度深くタバコを吸い、大きく吐き出す。 タバコの灰を灰皿に落とし、また口元へと戻す。 そして、彼は険しい顔をして、政府関係者たちにゆっくりと言う。 「まず、ダンジョン内では無闇に騒がないでください。モンスターや仕掛けが作動したら大変迷惑です。あと、下手に銃火器を使用しないでください。適切な状況時にだけ使用してください。それを踏まえて、自らの命は自ら守ってください。我々はあなた方の生命を護るまで手が回りませんので。最後に… 『僕の命令には従ってください』」
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