零章 「ダンジョン」

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「生きて帰るか…帰れる場所なんてもうないのにか…」 「?」 クロノスはボソリと呟いた。 だが、それはこの部屋の誰の耳にも届いていない。 「まぁ…一緒に行ってやるよ」 「ふん、図々しい奴だ…イダダダ!」 プランがおもむろに嫌そうに口を開く。 それを横でほっぺたを抓るプリシア。 「ははは!プラン先生はアビリティズ嫌いでな…とはいえ、ただの嫉妬だ。実質は君たちを認めてるし、何より自分が一番助けられてるのにツンツンしたいだけのツンデレだからあまり気にしないでくれ」 「な!ジーンくん!イダダダ!!!痛いよプリシアくん!」 再び抓られるプラン。 その光景を見るに耐えないと部屋から出ていこうとするクロノス。 「あー待ってクロノス氏、気分を悪くされたのであれば団長として僕が謝ろう。すまなかった」 「いいや、アビリティズに対する劣等種族の扱いは慣れていることだ。それより、俺は早くダンジョンに向かいたいのだが?」 「まぁ、そう焦らず。よーし、皆そろそろキャンプに戻るぞー」 『へーい』 全員気のぬけた返事だ。 今から行く場所は、死よりも恐ろしいとされる現象が数多とある地獄にして、人々の夢や浪漫に溢れさせる魅惑の場所。 そんなところへ赴こう者達がこんなに腑抜けた連中だとクロノスは『まだ』思っていた。
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