俺が選ばれた!? けっけっけ!

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「……どうぞ、こちらをご覧下さい」 近衛兵が取り出したのは少し大きめの巻物。 この世界では鮮明な色はかなり希少だが、封蝋(ふうろう)は真っ赤なものが使用されている。 また、封蝋(ふうろう)へ押された刻印はこの国の証である四角の枠に片翼の絵が羽ばたくように描かれたものである。 羊皮紙も粗悪なものではなく、一目で高級なものであるとわかるため、これは間違いなく本物なのだろう。 「字、読めねぇぞ? 俺」 教育のできる者はこの国ではまだ少ない。 国の中で貧富の差が激しく、ゴメスンは家と呼べるものがあるだけ家が無いものよりマシではあるのだが、幼少期より貧しい生活を送っている。 「では、僭越ながら私が読ませていただきます。……すみません、一度馬車の中へお戻りいただけないでしょうか」 「……まぁ、いいぜ。中身を俺が聞いたら帰れよ」 ゴメスンは面倒そうに馬車へと入った。
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