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「はい、1枚銅貨1枚だよ」
「そらよ」
ボサボサの鳥の巣と間違えられるほどに整えられていない髪をかきながら、男が一人受付から板を一枚銅貨と引き換えに受け取った。
ここは怒号や歓声、嫉妬や焦燥渦巻く賭場。
喜びの声より大きい呪いを唱えているかのようなうめき声があたりに響いている。
「ゴメスンさん。今日はどっちに賭けたんで?」
ゴメスンと呼ばれた男に近づいてきた男はひどい出っ歯で、風に揺られた草を思い浮かべそうなひょろひょろとした体をしている。
「てめぇにしゃべったらツキが逃げらぁ! けっけっけ!」
互いに受付で購入した札を隠して笑い合う。
その行動から、古くからの仲なのだろうと予想できる。
「始まりますぜ」
「んだなぁ」
男達の目の前に異形のものが現れる。
魔物が突然出現したわけではない。
現れた場所はゴメスン達から下へ掘られた窪地の中。
残る方がどちらかを賭けた、魔物達の……男達の戦いが今始まるのだ。
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