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「ここでは人の目につきますので、よろしければ私どもと一緒に来ていただけないでしょうか」
「なんでそんな低姿勢なんだ? もっと高圧的だろ? お前ら」
「いえ……その……ここでは」
近衛兵は誇り高い職業の1つだ。
兵の中でも王を守るために存在し、精鋭の中でもトップの兵になる。
もちろん、プライドも異常なまでに高く、国民にすら高圧的に接するため、民からの評判は極めて悪い。
「なに? 俺、死刑?」
「い、いえいえ! そんな、とんでもない!」
「死刑じゃないの? なんだろうな……あ! わかった! この間、闇市で買ったあれか! ちょっと待ってろよ」
ゴメスンが家の中に入っていき、中から瓶の割れる音や何かが崩れる音がしたかと思うと、腐敗した食料を漁る虫が部屋から大量に沸きだした。
近衛兵3人がその様をみて3歩後ずさる。
「これか~。すまんすまん。国からの盗品だったか。返すわ。いや~あの日は賭けで勝ちに勝ちまくってよ、帰りに闇市よったら目にはいって気に入ったから買ったのよ」
ゴメスンが手にしている物はタリスマン。
半透明の水色の石に白い糸で何かの模様が縫い込まれた物だ。
確かに、ゴメスンの家にはとても似つかわしくない代物である。
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