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「この先のホテル。この時間じゃ飲み屋か ファミレスぐらいしか開いてないから。 残念ながら賑やかな場所で話し込んだ後で あなたを送って行く元気がないのよ。 年かしらね。」 「まだ四十代でしょ。」 「四捨五入すれば五十歳。アラフィフ。」 渚は少し痩せたみたいだ。その所為だろう か、以前より雰囲気が軽くなった。すぐに でも飛び立ちそうな感じがした。東京とは 明らかに異なる湘南の緩やかな風が彼女を 撫でて通り過ぎる。 ホテルのフロントでルームキーを受け取り、 エレベータに乗り込んだ。 広いダブルルームだった。
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