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それでもね、と続ける。
「嬉しいとか楽しいとかは、きっとこれからいくらでもあるから。けど涙が出るほど悔しい気持ちって、なかなか経験できないよ」
「先生…… 」
呼び掛ける祥平を大森はキラキラした目で見返した。
「バドミントン以外の人生も頑張りましょうよ」
「ナニ偉そうに!落ち込んでると思って優しくしたら調子に乗って。そんなだからフラれるのよ」
予想の斜め上を行く切り返しに祥平は目眩を覚える。
教師の口から、そんな言葉が出て良いものなのか。
そもそもフラれたのは、まだ3日前のこと。
「どうして知ってるんですか? 」
振り返ると鬼の首を取ったかのような微笑みの大森が言った。
「女子の情報網は甘く見ない方がいいわよ。
わかったら早く飯食ってきな。15分以内! 午後からも応援と言う立派な仕事があるんだからね」
女子って歳じゃねぇだろうと反論したかったが、
反対にこちらがダメージを受けそうな予感がしたので、弁当を持ってさっさと外へ出ていくことにした。
外に出ると、チームメイトでキャプテンの佑真が座っている。
「お、来た来た。ここ座れよ」
自分の隣を指す佑真に返事をして隣で弁当を開けた。
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