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「祥平」 口に頬張りながら返事する祥平に佑真は悲しげな目で言った。 「フラれたばっかで次は大森かよ」 「バーカ」 祥平は食べていた箸で佑真の背中を刺す真似をする。 「そんな怖い顔してたら新しい恋も逃げちゃうぞ。ホレ、これでその怖い顔見てみ」 そう言って向けられた鏡には、涙で腫れた目が映る。 確かにこの顔は、ある意味ホラーなのかもしれない。 「なさけねぇ顔」 呟く祥平のことを佑真は慰めたりはしない。 逆の立場だったとしても恐らく同じだろう。 どれほど悔しい思いをしているか、皆わかっている。 「何だよ、新しい恋って。まだ別れて3日だぞ」 「“フラれて”ね。俺は女子からも慕われてるからさ、色んな情報が入ってくるんだよ」 そう言ってニヤッと笑う佑真は確かに後輩達に厳しい俺と違って、こいつは皆に優しい。いや、女子に優しい。 「あ、祥平センパーイ。お届け物でーす」 そう言いながら、後輩の茜が二人の方へ駆け寄ってくる。 「これ、応援に来てくれてたOBの先輩方から頂いた差し入れです!祥平先輩にだけ渡せてなくて」 そう言って500mlのスポーツ飲料を両手で差し出す。 「ありがとう」 「いいえ! 先輩たちも来年は差し入れ持って来てくださいね!」     
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