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ペコッと頭を下げると、弾むように走っていってしまった。
「なぁ、それ」
祥平が気付くよりも先に佑真が指差した。
ペットボトルには、可愛い文字の付箋が貼られている。
《祥平先輩お疲れさまでした 茜》
「俺のには、無かったぜ」
「お前は、まだ試合あるからだろ」
「いや、違うと思うなぁ」
そう言って佑真は明後日の方を見ながらニヤニヤしている。
「わっけわかんねぇ」
呟くと祥平は残りの弁当をかきこんだ。
「あ、俺ちょっと先に行くわ」
そう言って立ち上がる佑真に続くため祥平は急いだ。
「おい、待てよ。すぐ片付けっから」
「ゆっくり来いよ。俺は次の試合があるもんで」
嫌みったらしく言うと走って行ってしまった。
「何だよ、あいつ。俺だって15分以内って言われてんだからな」
ぶつぶつ言いながら立ち上がると後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、いつの間にか後輩の沙也が立っている。
「おぅ、沙也。どうした」
「祥平先輩もう体育館戻るなら私も一緒に良いですか? 」
モチロンと応え、歩き出すと沙也が先輩って、と話し出す。
「くじ運わるいですよね」
何のくじかと聞く祥平に、何でわかんないんですかと言って笑う。
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