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朝の河川敷
珍しく、日の出直後に目が覚めた。
いつもなら確実に寝直すところだが、何だか今朝は目が冴えていたので、たまにはと早朝散歩に出た。
家の近くには川があるので、川沿いをぶらりと歩いて戻るとしよう。
散歩コースを決め、川に向かう。と、こんな時間だというのに、河川敷にたくさんの人が横たわっている光景に出くわした。
何十人…いや、何百人でもおかしくない数の人間が、ずらりと河川敷に横たわっている。
夏場だから、自治体がラジオ体操の予定などを組んでいて、新手の体操を皆で行っているのだろうか。でもそれにしては、指導者らしき人や音楽をかける機材も見当たらないし、そもそも横たわる人達は誰一人として動いていない。
これはいったい何の集いなのだろう。首を傾げながら横たわる人の群れを見ていたら、川の方から数人の男性が河川敷に上がってくるのが見えた。
内の二人が肩に担いでいた人を河川敷に下ろす。それを見ながら、一番年配らしき男性が声を発した。
「これで全部か?」
「ええ、これで終了です」
「今年は多いな」
「梅雨前に、季節外れの大雨で川が氾濫しましたからね。あれの被害がほとんどですよ」
「ああ…そうだったな」
男性達のやりとりが、ますます俺を混乱させた。
今の会話の内容は何だ? それに、運ばれてきて降ろされた、ぐったりと動かないままの人。
見ているもの、聞いたことが頭の中でぐるぐると回る。でも上手くまとまらないそれを、男性達のさらなる会話が答えに導いた。
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