後編

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 適当なことを言うと、新田さんが目を細めた。 「すぐバレる嘘をつくんじゃないわよ」 「……スイマセン」 「全く、こんなとこで一人寂しく飲んでる場合じゃないでしょ」  別にいいじゃないか。誰に迷惑かけたわけでもないし。 「新田さんは、彼氏できましたか」 「できないわよ。周りは牛しかいないし、いい男はみんな結婚してるし」  新田さんはため息をつき、アンニュイな目をした。 「あー、ほんと、オランダに行きたいわ。出会いがあるかもだし」 「行けばいいじゃないですか。まだ飛行機飛んでますよ」 「アンタ人の話聞いてた? 物産展があるんだっつの」 「キャラメル、売るんですか?」 「まあね」 「私にも売ってもらえますか、知り合い価格で」 「ズーズーしいわね、相変わらず」  新田さんはそう言いつつ、スーツケースから袋を取り出した。 「今はこれだけしかないわ」 「通販とかないんですか?」 「基本地元に卸してたからね。デパートと提携するかどうかは、売れ行き次第みたい」  私はへえー、と言いながら、箱の中の内袋を開けようと手をかけた。が、力を入れすぎたらしく──ぱんっ。袋が弾け、キャラメルが床にバラバラと落ちた。 「あっ」 「ちょっとアンタ、何してんのよ」 「す、すいません」     
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