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「すいません、コピー機が変なんですが」
「ああ、これ。蹴れば直りますよ」
私は、有言実行とばかりにコピー機を蹴った。神崎くんは、おそらくそんな人間を初めて見たのだろう。びっくりした顔でこちらに向ける。それから、人懐っこい笑みを浮かべた。
「小城さんって、頼りになるなあ」
なかなか気持ちのいい青年である。
時計が十二時を指したので、昼食を買うため席を立つと、見計らったように新田さんが寄ってきた。
「ちょっとアンタ、神崎くんといい感じじゃない、オギのくせに。どんな手使ったのよ」
「私、お母さんと同じ名前らしいですよ」
「なによそれっ、そんなんで仲良くなれるなら、私も妙子にするわよ!」
それは無理がないだろうか。
「あの」
声をかけられ、振り向くと、神崎くんが立っていた。彼は爽やかな笑みを浮かべ、
「お昼、どこかいい店ありますか?」
私と新田さん、神崎くんは、そろってコンビニに来ていた。
「お二人はいつもコンビニなんですか?」
神崎くんがそう尋ねる。
「まちまちですかね。ね、新田さん」
「そうね。あ、アンタこれ食べなさい」
新田さんは、私の持っているカゴに、チキンサラダを入れた。
「勝手に決めないでくださいよ」
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