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「うっさいわね、ニキビがひどいわよ。どうせお菓子ばっかり食べてんでしょ」
「だって、料理作るのめんどくさいんですもん」
「うわっ聞いた? 神崎くん。女子力2よね、この女」
神崎くんはハハ、と笑った。スーパー好青年である彼は、新田さんの口調にも動じない。
「でも、料理イコール女子力って変かも。俺、結構料理するし」
「あら、そうなの? なにが得意?」
新田さんの声のトーンが、二割くらい柔らかくなる。眼差しも慈愛に満ちていた。私に対しては夜叉のようなのに、まるで菩薩だ。
なんか、新田さん、神崎くんに優しくないだろうか。イケメンだから?
二人が仲良くしているのを見ると、なんだかムカムカする。
──ん?
なぜだろう。生理前だからだろうか……。
「ちょっと、なにボーッとしてんのよ」
新田さんに呼ばれ、私は慌ててレジに向かった。彼はできの悪い犬を見る目でこちらを眺め、なにしてんのよ、と言う。
それからまた、神崎くんと優しい声で話し始めた。
私はぶり返してきたムカムカを抑えるため、深呼吸をした。
カチャカチャと、キーボードを叩く音が響く。会社に戻り、作業をしていた私は、打ち込みをしたエクセル表が一段ずれているのに気づいた。
「げっ……」
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