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カツン、カツン、カツン……
「…………」
ライドは長い教団の廊下を歩きながらかつて一緒に細々と暮らしていた弟の事を思い浮かべていた。
この時ライドの両親は魔の襲撃によって即死。
資産家で比較的裕福だった生活は魔によって一気に幸せは崩され、それでもなんとか生き残った二人は荒野をさ迷い日々生きていく生活を強いられていた。
そんな中で弟は両親を殺された魔に対抗する為、祓魔師になる事を決意。
ライドとは裏腹に性格が明るくちょっとドジっ気があるボルみたいな弟アルトは、いつか誰も魔によって泣かなくなる日々を自分が作ると兄ライドにそう言い、話していた。
そして弟アルトは兄ライドに、
「兄ちゃんは頭が良いし、祓魔師になったら絶対トップの座につけるよ」
と言い、この時兄を褒め称え一緒に 祓魔師 になろうと誘ってきた。
それについてライドは下を向きながら弟アルトに、
「……いいよ、アルト。
アルトと一緒に平凡に過ごせたらそれで十分だと思っているよ」
と答え、この時弟の誘ってきた意見を断っていた。
だがそんな兄ライドの考えとは裏腹に弟がまたもや魔に襲われ殺された。
しかも殺され方が兄ライドをわざと見せつけるようにジワジワとなぶり殺すように体を締めつけ、 アルトは絶命し、その場で生き絶えた。
ライドはこの時頭が何もかも真っ白になり何が起こったのかわからなくなっていた。
そしてこの時色があったライドの髪はあまりにもショックで白濁になり、この出来事でライドは生きる気力をなくしていた。
そして繰り返しとぐろを巻くようにライドの頭の中でずっと、
あの時私が早く二人で教団に入り力を身につけていれば、こんな事にはならなかった。
教団に入ることはこの時私はすでにNOだった。
何故なら、入団すればさらに魔と対峙し死が伴う。
ひっそりと暮らしていても良かった。
何事もなく二人で生きてさえいれば……
だが私はアルトの意見を耳を貸さず話を流してしまった。
あの時聞き入れさえすればこんな事に……
………………
そうだ、そうだ私が……
アルトの命を奪ったのだ。
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