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ふと、男の真後ろに浮かぶ例の悪霊と目と目が合った。
赤く燃えた瞳の中にぽっかりと口を開けた奈落の影。
そこに視点を合わせず、私はドクロのような顔の眉間をじっと見つめ返す。
怖くない。
恐くない。
あなただって、孤独に蝕まれた人間の霊なら温めてあげる。
北風のような鋭い風が吹きつけているような感覚になった。
有機物が腐敗する匂いの中に土の匂いがした。
世界はあなたを受け入れている。
存在していることが、そのまま愛だから。
「あなたも愛されている」
私がそう念じると、スゥっと離れて行った。
命は廻る。
めくるめく時の中で、命は出会う。
終わりは始まり。
肉体や自我が滅びても、魂は無限の愛だ。
その循環の中にあなただっているんだから・・・ね。
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