第6章 無限回廊6周目

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降りしきる雪の夜の出会いを彷彿とさせるこのシチュエーションに、私の胸も高鳴っていく。 生きるために人は出会うんだね。 私達は生かし合うことを選べる。 殺すことに意味なんてない。 奪えば必ず奪われることを恐れるようになる、だけだ。 愛は与えるものだと思っていたけど、違う。 ずっとここにあったんだ。 あなたの存在が愛なの・・・あなたはこの世界から愛されている・・・今も、これからもずっと。 「あなたはずっと愛されていた・・・。命の輝きを感じてみて欲しい」 自然と零れるように出た言葉に、私自身もなぜか胸が震え出した。 孤独が人を狂わせる。 この男の孤独を癒せば、あの悪霊も退散するかもしれない。 誰も死ななくて良い。 誰も傷付かない。 私が欲しかった選択枝がここにあった。 男はいよいよ小さな子みたいに泣き出した。 川の上に浮かび上がった少女が、ゆっくりとこちらにやってくるのに気付いた。
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