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手には肉と骨を石で叩き潰す感触が残っていた。
最初に見た夢が現実で、その後視た夢は全部夢だった・・・ということかな?
酷く疲れていた。
目覚めた晴馬は、真っ先に自分を責めた。
私を守るところを、反対に護られてしまったと、そればかりを繰り返し言って・・・。
無理もないけど、物事は思い通りにはいかないから・・・。
・・・済んだことはどうすることもできない。
今は、お母さんと晴馬と私が生きていることに感謝するだけにしよう。
おじさんが一人じゃ死ねないと言って、彼を連れ去った人達の手を思い出す。
霊の世界は未知の世界だ。
あれがただの夢だとは思えない私がいた。
それに、私のお腹に赤ちゃんがいると知って私を殺さなかった。
浅い眠りの中で、かれんちゃんのことを思い出した。
翌日になってしまったけど、かれんちゃんの霊が現われた場所を高橋さんに教えたら、その日のうちに彼女の小さな遺体が川底から発見されたという報告があった。
手の腫れはすぐに引いて、私は晴馬にご飯を食べさせてあげられるようになった。
痛々しい傷だらけの顔だけど、晴馬が傍にいてくれるだけでとても心強い。
お互いに見つめ合って無言で頷いたり、手をギュッと握り合ったりして、生きていることを確かめ合うことができるけど、以前のような晴馬じゃなくなってしまった。冗談のひとつも出て来ないし、何よりキスもエッチなちょっかいもないのは、本当に心配・・・。
自分を責め続ける彼の心に寄り添いながら、身体の回復を一週間待った。
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