「夢の中で待ってる」 おまけ

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「かりん。また会えたね」 甘ったるい声で呼ばれて振り向くと、ほぼ同じ目線の高さの彼がニコニコ笑顔で立っていた。 風邪に凪ぐ草原と抜けるような青い空の綺麗な風景の中。 真っ白いベンチと日よけの大きな傘が地面から突き出ていて、それは本当に絵になるほどに美しい場所。 また、呼ばれて来てしまった。 これで2回目。 「はるま、元気にやってる?」 「うん。とても元気だよ。やっと高校教師らしくなってきたみたい」 白いシャツと白いジーンズを履いた細身のイケメンさんは、田丸燿平さんという名前のアーティストだ。 ここは彼の天国。 私はなぜか、時々招待されて来てしまう。 燿平さん曰く、「かりんと俺は所属が同じだからな」って。 どういう意味か尋ねても、「難しい話はなしで!」と、明るくシャットアウトされる。 享年24歳というわりに、まるで高校生みたいな可愛らしい笑顔。 大抵の女の子なら、微笑みかけられただけで恋に落ちてしまいそうな美しい顔だ。 こんな人と男子寮で同室になった晴馬もまた、男子からモテたらしい。晴馬が一年生の時の寮長が、晴馬を意識していたという話は有名なんだって、この前の訪問時に教えてくれた。
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