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白いベンチには可愛らしい花柄のハンカチが敷いてあって、そこに座りなさいと手で合図された。
座ると不思議なことに、花の芳醇な香りが広がって。気付けば視界の全てがグリーンの芝生から黄色とピンク色と紫色のお花畑になっていた。
「ぅわぁぁぁ・・・・・素敵ね」
「うわわわぁぁぁぁ・・・かりんて、本当に可愛いらしいね」
ぴったりと隣に座った彼が私の肩を抱き寄せた。
隙あればすぐにくっついてくる。
この人、死んでいるのに恋愛ごっこが好きらしい。
「今日は・・・キスしてもいい?」
「お断りします。・・・もう、今日は良いとかないですよ?」
「・・・そんなに身持ちが固いのって、勿体なくね?
若いんだからさ・・・。晴馬以外の男とも付き合ってみたほうが良いと思うんだよ」
スキンシップが大好きな燿平さんは、私の髪の毛を指先にのせてクンクンと匂いを嗅いだり、そこにキスしたり自由奔放だ。
この距離だって本来ならば、絶対にありえないんだけど・・・。
なぜか、他人な気がしなくてついついギリギリのところまでは許してしまう私がいる。
「あいつの心にずっと存在し続けた女神と、こうして二人きりでデートだなんて。
晴馬が知ったら、どう思うんだろうな?
どうせ夢の中の出来事なんだしさ・・・無礼講って感じで。俺とやっちゃおうよ?」
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