第6章 無限回廊6周目

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結婚式を挙げたリゾートへと続く道をひた走りながら、未亡人になることを恐れていたことに行き着いた。 お母さんのように、すぐにお父さんを亡くして寂しい時を生きるのは私にはできない。 晴馬を失うなんて嫌だ。 晴馬に私がいない人生を歩いて欲しくはない。 おじいちゃんとおばあちゃんになるまでずっとずっと一緒が良い・・・。 ・・・それだ。たぶん、これだ! 夫婦の時間に執着しているんだ。 失うことが、こんなにも怖い・・・。 唐突に訪れる死に対する恐れだ。 理不尽に幸福な人生を奪われることに酷く怯えているんだ・・・。 愛のない人生なんていらない。 愛に(すが)り、愛を(むさぼ)る私がいる。 お父さんがいない子供時代、私は両親がいる家庭に憧れていた。 どちらの親も欠けてはいけないんだって強く思ったんだ。 愛はそばにいればこそ力を与えてくれるって、思ってた。 でも、お父さんはいないけど私はちゃんとお父さんの愛を感じることは出来ていた。 愛は失わないものなのかもしれない・・・。 奪われたりできないもの・・・。 命は愛そのもの・・・。
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