第6章 無限回廊6周目

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両親不在で育った人は、本当に愛される感覚を知らないのでしょうか? あの男は危険だし狂暴だし、人殺しをするし、女性を凌辱するけれど・・・一人の人間として生まれてきた。 この世界は優しいから、どんな人も受け入れてくれる。 魂に傷なんかないし、傷付くこともない。 太陽と月にとって、犯罪者も善良な人も命の価値は等しいの。 この命と、あの男の命は、対等。 親の愛に飢えた幼子の苦悩なら私も知っている・・・ 愛に執着する魂という呼び名になれば、あの男と私には大して違いはないんだ。 園長先生も、かれんちゃんも、博子さんも・・・博子さんの旦那さんも・・・・。 晴馬も、お母さんも、みんな同じ。 力を抜いてあの男と話をしよう。 言葉じゃなくて、あの男が本当に求めているものをちゃんと知りたい。 知りたいのは私じゃなくて、あの男自身なんだろうけれど・・・
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