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かつてないほどに落ち着いた気持ちで悪路を進んだ。
坂の下で車を停めて、こそこそせずに歩き出す。
ドアをノックすると、男が出てきた。
とても驚いた顔をしている。
「あなたと話がしたい」と言うと、眉間に深い皺を寄せた。
「・・・波戸崎の娘の方か・・・?」
「あなたが本当にしたいことは、こんなことじゃない・・・でしょう?」
男は私の言葉に動揺していた。
ゆっくりと手を伸ばして、大きくて丸い顔に触れると、ビクッとして後退した。
「怖がらないで・・・、もう大丈夫だから。ただ、話しがしたいだけなの・・・。あなたを傷付けたりなんかしないわ。約束する」
「・・・お、俺を騙すつもりだろう?」
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