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「騙す? ・・・私は今、一人で来たの。
あなたが病院からお母さんを連れ去った夢を見たの。だから、追いかけてきた。
私は、もうあなたにはこれ以上傷付いて欲しくない。
あなたを止めに来たの」
男はさらに後ずさりをして、怯えた顔を向けていた。
小さな子供のように、今にも泣き出しそうな顔だった。
「今さら!!なんなんだよ!!!」
野太い声で怒鳴られたけど、怖がらずに向き合わなくちゃ。
「もう誰も傷付けないで。そのまま、あなた自身が傷付くだけだもの。
誰の命も奪わないで。奪われる運命から逃げられなくなってしまうだけだから・・・」
「・・・なんでだ・・・・なんなんだ・・・お前ら!! 親子そろって、気味が悪い!」
「親子そろって?」
男のすぐ足元には、気を失っているお母さんが横たわっていた。
「こいつ、いきなり抱いてあげましょうと来たもんだ・・・」
・・・お母さんも、同じことを考えたのかもしれない。
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