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私は涙が止まらなくなった。
「なんで、泣く?」
「あなたが可哀想だから・・・。目の前にある優しさに気付けないあなたが悲しいから・・・」
「・・・なんで、お前がそんなことで泣くんだ!」
男が手を振り上げて私の頬を力いっぱい打った。
そのまま、地面に転がった私の上に男がのしかかってくる。
私が抵抗しないからか、乱暴に引き上げられたシャツを掴む手が止まった。
「・・・なんで、なんで・・・なんでもっと、もっと・・・はやく・・・。
俺だって、誰も殺したりなんかしたくなかったよ。
あいつらが俺を嵌めたんだ!
俺は利用されたんだ!!
俺だって、被害者なんだ!
誰も助けてくれなかったじゃないか!」
錯乱状態で叫ぶ男を見詰めながら、私は両手を広げた。
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