第6章 無限回廊6周目

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私は涙が止まらなくなった。 「なんで、泣く?」 「あなたが可哀想だから・・・。目の前にある優しさに気付けないあなたが悲しいから・・・」 「・・・なんで、お前がそんなことで泣くんだ!」 男が手を振り上げて私の頬を力いっぱい打った。 そのまま、地面に転がった私の上に男がのしかかってくる。 私が抵抗しないからか、乱暴に引き上げられたシャツを掴む手が止まった。 「・・・なんで、なんで・・・なんでもっと、もっと・・・はやく・・・。 俺だって、誰も殺したりなんかしたくなかったよ。 あいつらが俺を嵌めたんだ! 俺は利用されたんだ!! 俺だって、被害者なんだ! 誰も助けてくれなかったじゃないか!」 錯乱状態で叫ぶ男を見詰めながら、私は両手を広げた。
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