シャープペンシルと編み棒

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「毎日とっても汚いものばっかり詰め込まれて生きてきたんだ。――例えばタバコ、暴力、罵声――でもねぇ、死に方がうつくしかったら許してくれるよ。それを探してる、んだ、あたし」 へらりと頬が弛緩する。ばかみたい、ばかみたい。こんなこと話して、そうた君がドン引きすればいいと思う。 ばかな希望しか持てないので。生きることにやる気がないから。そうた君に好かれる努力も出来ない。 テリトリーを荒らされたから? いいえ。 あたしが出来ない編み物をしているから? いいえ。 静かな目が気に食わないから? はい、そうです。 はい、そうです。正解。 別にそうた君のこと嫌いじゃないんだけど、と心の中だけで呟く。ひとつのことに集中しているのに、背筋をぴんと伸ばして座っている姿勢はとても好ましい。あれこれうるさくもないし。そうた君は目を伏せて口を開く。 「本の中の、人の死に方で死にたいわけ?」 「うーん、うぅん、うん。そうだなぁ、素敵な人生が送れなかったら、もう死に方にこだわるしかないよ、ってことかなぁ」 頬の弛緩と冷たい机。パイプ椅子と太ももの青アザ。いつも通りのあたし。 ちらりとソウタ君の方を見上げたら、とても静かな顔をしていた。どこかに感情を落としてきちゃったみたいな顔。かわいそう。あたしはせいぜい笑う。 「……なぁんてね、ぜんぶ嘘だよ」
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