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つまんない嘘だったねぇ、と体を起こしたら、
――ぴた、と、
眉間に、突きつけられた、編み棒。
「プラスチックの棒だけどさ、先っぽはとんがってるし一応俺男だし、あんたくらい殺せそう」
「やぁーだなぁ、そうた君。物騒だな」
安っぽい水色のプラスチック編み棒を見詰める。より目になっちゃって愉快な顔になってるんじゃないのかな。へらへらと頬がどんどん弛緩する。
ああ、だめだ、楽しいなぁ。
「うんうん、確かにね、とても面白い死に方だよね。我がテリトリーに入ってきた男に彼の編み棒で眉間を刺されて殺される!小説的だよね」
「ふぅん、小説とか読まないから分かんないけど」
「でもねぇ残念だけど、」
編み棒を親指と人差し指でつまむ。引っ張ったらソウタ君は素直にそれをあたしに渡した。
「道具ってね、正しく使わなくっちゃあいけないよね。間違ったらかなしくて残酷だ」
「例えば?」
「例えばぁー?そうた君質問多いね、面白いなぁ。例えばそうだな、この素敵な色の毛糸で出来るマフラーを首吊りに使われたら、とってもかわいそう。そういう類のこと、わかる?」
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