現し世と現実のハザマ

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「父さんと義母(かあ)さんは旅行中だたから、オレの所に連れて来たけど……イヤだったか?」 「イヤでは……ないけど」 「けど?」 「迷惑……じゃない?」 「迷惑じゃないよ」 ご飯を食べ終え、薫は「着替えは実家から持ってきたから」と言って下着まで持って来ていた。 それはさすがに、赤面してしまった。 女性モデルのヌードデッサンもすることがあるから、慣れている……と言った風に話していた。 ふと、部屋の時計を見ると“3時”だった。 外はまだ明るい。 ということは、午後の3時だろう。 自分がどのくらい眠っていたのかも分からない。 ベッドルームで着替えてこようと、鞄を開けるとどれも“アリス”の服ばかりだった。 「……これって……」 カラーバリエーションは、紅や緑、黒、白とだったが……自分の部屋には“アリス”の服しかなかっただろうか? と首をひねった。 カチコチと時計の音が頭の中で響く。 ノックの音がして、部屋に入って来たのは……“現し世”で逢った“王子”だった。 いや、“王子”の格好をした“薫”なのだろうか? 「“アリス”続きをしよう」 「えっ? 薫義兄(かおるにい)さん?」 「僕は“王子”だよ。あんなに僕のモノを(くわ)え込んでいたのに」 直接的に言われると、赤面してしまう。 近づいてきた王子に、抱き寄せられて唇を奪われ身体の芯が潤む。 甘い薔薇の香りが強くなり、王子のキスに身をまかせ始めた。
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