現実と・・・・・・

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“王子”か“薫”なのか? 分からないが、愛おしい男性(ひと)に“3時”になると抱かれる。 それ以外でも、“アリス”の格好のままで薫と過ごしていた。 「今日って、何日だっけ?」 部屋にカレンダーがなく、街を彷徨(さまよ)い歩いていた時に手ぶらだったことからスマホもない。 薫に尋ねてみるが、「“時間”とか気にしなくていいよ」とかわされてしまう。 彼のアトリエには入れて貰えず、自分も自宅には帰る気持ちにもならなくなっていた。 「今日は、未知をモデルにしたいけどいい?」 そう突然切り出されて一瞬戸惑ったが、薫の絵のモデルになることに躊躇(ためら)いはなかった。 「わたしで良ければ・・・・・・」 「じゃあ、こっちのアトリエに来て」 誘われて初めて入った薫のアトリエには、紅い布地で木枠のソファがあった。 「ここに、横たわるように腰掛けて」 ポーズを指示されて、腰掛ける。 「もっと艶っぽい表情が欲しいな」 そう耳元で囁かれ、身体がビクンと跳ねた。 耳朶(じだ)()まれ、首筋をすぅっと薫の指が撫でる。 ゾクゾクとして、心地よい感覚に襲われ思わず甘い声を漏らす。 「やっぱり、良い声で()く」 「か、薫・・・・・・んっう・・・・・・」 唇にキスをされ、甘い香りに包まれる。 ――“王子”と同じ匂い―― 「んっ、あぁ……かおるに・・・・・・い・・・・・・」 咥内(こうない)を舌で犯されるように絡められ、ますます声が甘くなり瞳がまどろんできた。 「その表情だよ、アリス」 疼いた花弁をショーツの上から撫でられ、ビクリと身体を震わせた。
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