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現し世で、まず出会ったのはウサギだった。
『不思議の国のアリス』に出てくるような、白く二本足で歩くウサギとは違い・・・・・・灰色のウサギだった。
二本足で歩くのは、同じだったけど。
「あぁ、時間がない!!」
「急がないと、お茶会に遅れるよ!! アリス」
どうやら、私は“アリス”らしい・・・灰色ウサギからは。
「お茶会なんて、別に参加したくない」
それを聞いた灰色ウサギが怒って、「君がいないと、“王子さま”のご機嫌が悪いんだよ!!」
「“王子さま”!?」
アリスには、女王や帽子屋、チェシャ猫とか登場するけど・・・・・・王子さまなんて、いなかったはず。
どうやら、自分の知っている『不思議の国のアリス』とは違うのが、この世界なのだろう。
ふくふくとしたウサギの手に引っ張られて、城に連れていかれた。
お茶会は、城の薔薇園の迷宮の中で、灰色ウサギがいなければ途方に暮れていただろう。
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