叶わぬ夢と・・・・・・

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参加したくないお茶会に、強引に灰色ウサギに席に座らせられた。 ──なんで、お茶会なんかに── 内心、毒ついていると“王子さま”が現れた。 「やぁ、待っていたよ。僕のアリス」 (うやうや)しく手を取り、手の甲に唇を落とし挨拶をした。 顔を上げられて見たら・・・・・・“薫”だった。 「!? 薫義兄さん!? なんで!?」 「アリス、僕は“カオル”ではないよ。“王子”だよ。名前は」 ──名前はない!? ── 「ここで、“名前”があるのは“アリス”だけなんだよ。忘れたのかい?」 王子が私を真っ直ぐ見つめた。 「私は、“アリス”ではないし・・・・・・」 そう訴えてみたが、王子や灰色ウサギは、『いいや、君は“アリス”だ』と耳を貸さなかった。 テーブルの“時計”は“3時”で、お茶会が始まってから、どのくらい経ってしまったか分からない。 「あの、今、何時なの!?」 「3時だよ、アリス」 王子は、微笑みながら答えた。 ──いや、だから時計がいっこうに進んでいないんだけど・・・・・・ ── 「“時間”がすすんでないんだど・・・・・・」 王子は、「時間を進めて欲しいのか?」と言い、テーブルに置いてあった呼び鈴を鳴らした。 「“時計屋”に“時間”を進めさせたから」 と、王子は言い鳴らしていた呼び鈴をテーブルに戻した。 「さて、アリス。城へ行こう」 今度は、王子にグイグイと手を引かれて城の中へと連れ込まれた。
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