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『城』というよりは、『バベルの塔』のようだった。
『バベルの塔』が、雲の上を目指すのに対して『城』は広く広くと造られている。
白い壁に、赤い屋根。
『館』のようにも思えた。
「これが・・・・・・城!?」
「『城』だよ、アリス」
なんとも不思議な感じがしたが、さらに王子に連られて広間に入る。
灰色ウサギは、ひょこひょこと後ろを着いて来た。
「では、王子さま。私はこれで・・・・・・」
灰色ウサギは、王子に挨拶をして“役目”を果たしたかのように城の奥へと去っていった。
トランプの模様の服を着たメイドたちが、ズラリと並びアリスに「おかえりなさいませ」と挨拶をした。
広間には、綺麗なシャンデリアが、こうこうと煌めいている。
「・・・・・・きれい・・・・・・」
「アリスには負けるけどね」
王子は、こそば痒いことをサラリと言った。
思わず頬を赤くし、俯いてしまった。
「そんなアリスもかわいい」
頬に軽くキスをされた。
「!?」
「キスより、もっと違うことをしよう」
階段を上がっていき、豪奢な白い扉がすぅっと開き中に誘われた。
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