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うちの塾に少し毛色の変わった子がいる。
女子なのに国語より算数が強くて、女子なのに無駄口を叩かず、他の子ともつるまない。女子なのにいつもジーパンで、女子なのに俺より背が高くて…って、最後のは完全に俺のひがみだけど、とにかく教室の中でも浮いた存在であるのは事実だ。
授業毎に行われる小テストで100点を量産するのはもちろん、月に一度の公開テストでも偏差値65以上を常にキープしているツワモノで、ついたあだ名は最終兵器。
教室の全員が解けない問題が出てくると、「しゃあないなぁ、ほな、村上さんはどうや」、と先生が振って、その時だけぼそぼそと小さな声で答えるからだ。
それが正解というのだから、まったく…もったいぶらないで最初から手を挙げて答えりゃいいのに。
彼女はいつも窓側の前から二列目の席に座って、一人で文庫本を読んでいる。
そういえば何度か席替えがあったのに彼女はいつもその席だ。目の悪い奴とかが最前列で固定されるのは分かるけど、なんで二列目?
まぁ、そんなことはどうだっていい。目下のところ知りたいのは、そんな彼女と過ごす間を埋める方法だ。
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