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「これは面白いもんなん?」
「うん。好きやねん」
彼女は照れながらも、珍しくはっきりした口調で言った。
好き…ねぇ。
まぁ何を好きになるかは自由だけど、この札のどこに心ときめく要因があるのか見当がつかない。
「この札で何を覚えるわけ?歌を全部?」
「それはもちろんやけど、あとは…」
彼女は口で説明しきれないと思ったのか、実演してくれた。札をめくりながら、「す、こぬ、ちぎりき、たち、いまこ…」と謎の言葉を並べていく。
「これが決まり字やから、札を見てすぐに決まり字が頭に出てくるように、覚えててん」
「…」
「ここに書かれている字を文字じゃなくて、図形として覚えた方が早よ取れるんやって。せやからこの札で覚えなあかんねん」
珍しく長広舌をふるう彼女に、俺は「へぇ…」とだけ言った。
いや、他に何とコメントしていいものか。彼女の口から出てきた言葉、半分以上意味が分からなかったぞ。
いや、ただ一つだけ分かったことがある。アイドルやドラマで盛り上がっている女子たちとは、そりゃ仲良くなれなくて当然かもしれない。
俺は苦笑交じりに嘆息した。
「なんや、さすが村上さんっていうか…俺には無理やなぁ」
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