初めて編(2)

2/8
1849人が本棚に入れています
本棚に追加
/204ページ
「グラビアアイドルフォローするためにな」 「……へえ、DMで口説くんですか」 「しねえよ、仕事。口説くなら直でやる」  この人でも女の子を口説いたりするんだ。想像しようとしたが、無理だった。だってセクハラしかされたことないし。 どんな店に行くんだろう。少なくとも、大衆居酒屋へは行かないだろう。バーとか行っちゃったりするんだろうか。なんか変なの。  酔っぱらってキスしたりとか。先日の、唇の感触を思い出しかけ、私はぶんぶん首を振った。  あれは事故だ。三澤は絶対覚えてないし、慰謝料を請求したいところだけど無理だろう。べつに、気にしてなんかいないし。あんなものは粘膜と粘膜の接触だし。 「ああ、そうだ。またエロ記事書いて。こないだのよかったから、あんな感じで」  三澤の言葉に、眉を寄せる。 「またですか?」 「明後日までな」 「ハイ」  私はしぶしぶ頷いた。三澤は私の頭をくしゃっと撫で、自分のデスクへと戻った。なんか、機嫌いいな。グラビアアイドルとやり取りできるから? 「……触んないでよ。セクハラなんだから」  私は乱された髪をなおしつつ、パソコンに向かった。     
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!