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こないだの記事は、会社のトイレでオナニーしてたら、上司にバレて……みたいな話だった。仕事中にオナニーとか、あり得ないし。上司も盛ってないでまず注意しろよっていう。
私はネットサーフィンをして、めぼしい話を探した。
「……全然書けない」
私はパソコンの前で固まっていた。三澤と自分をモデルにして考えていたら、なんだか恥ずかしくて、途中で全部消してしまうのだ。書いては消し、書いては消していると、だんだん外が暗くなってくる。このままでは残業だ。焦りを覚えていたら、三澤が背後からひょい、と覗きこんできた。
「なんだよ、一行も書けてないじゃん」
私は唇を尖らせ、
「ちょっと、スランプで」
「なんだスランプって。スランプになるほど書いてないだろ」
ぐうの音もでない。よく見たら、三澤はすでに帰り支度をしていた。橋本がからかう。
「こんなに早く帰るなんて珍しいな。デートか?」
「違う。仕事。グラビアアイドルと飯食うんだよ。今度の巻頭に写真載せるから」
私は、キーボードをたたく指を止めた。
「いいですね、おっぱい揉み放題で」
橋本が原稿を眺めながら言う。もちろん冗談だろうけど、でも三澤だったら食事のあとホテルへなだれ込むことも十分想像できた。
「まあ、職場に全然おっぱいないからな」
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