弐呼吸 道

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弐呼吸 道

 古びた喫茶店だ。  家具なども欧州風のが昔からあるが、だいぶ年期が入っている。  が、それがさらに味を生んでいるようだった。  京都東山通りの百万遍……その近くにその店はあった。  いるのは大体が常連客。  近くに京都大学もあるが、学生が入れるような場所ではない。  街中にある喫茶店では、基本的に視界が白く濁っている場合がほとんどだが、この店は違う。  一番のお得意様がこの店ではそれをしないため、回りがそれに習いここでは、空気が澄んでいる。いつでも、上質な珈琲の香りが楽しめるのは此処くらいではないだろうか。  彼が日課である一杯を楽しんでいると、二つの陰がそのテーブルに落ちてきた。 「なんや? 定例会の時間にゃ早いで」
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