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その顔ぶれに、回りの客達も一瞬行きを呑む。
「少しお耳にいれたほうがよろしいかと思いやして」
壮年というべき貫禄の男がまず口を割った。
「そんなムッツリとした顔で言うなや。まぁ座れ」
珈琲がまずくなるやろ、彼の顔にはそう書いてあった。
確かに、先に口を開いた男に珈琲は似合いそうもない。着ている者も洋服ではなく紺地の着流しである。全くこの店にはそぐわないのは違いなかった。
対して珈琲を嗜む彼は、カジュアルな濃緑色のジャケットに白い襟なしのシャツを着ていた。
「まぁそう言ってやるなや、鬼灯」
最後の一人が軽い口調で馴れ馴れしく、珈琲を嗜む彼……宮酒鬼灯に語りかけた。
「お前まで来るってことは、なんかあったんやろ……俺はこの一時が大切なんや」
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