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翌朝俺は、シィからのLINEの着信音で目覚めた。
「ん……?」
『四季くん、大変。昨日、アーヤとデートした?』
それは、不穏な質問だった。
『ああ。何かあったか?』
『写真が学校中に貼られてる。先生がたが、はがすの追い付いてない』
俺は眠気も吹っ飛んで、ガバリと起き上がった。
写真が添付されてくる。
昨日、教会でした誓いのキスの写真が、望遠で撮ったみたいにドアップで映ってた。
* * *
初めて学校に、ちゃんと朝から登校した。重役出勤の綾人と会う事はない。
あの写真が俺なのはハッキリ分かるけど、角度と変装で、あれが綾人だとバレてないかもしれない。
不純同性交遊で、何日かの自宅謹慎。それが、最小限に被害を食い止める方法だった。
綾人にメールか電話しようかとも思ったけど、そこから足がついて綾人が処分される可能性を考えて、何も連絡しなかった。逆に、綾人との履歴を消す。
ホームルームの最後に、係長が残念そうに言った。
「四季くんは、この後すぐ、職員室に来るように。一時限目までに、取り急ぎ確認したい事があります」
ヒソヒソと、クラス中が俺を責める。
窓際を見ると、ハシユカはもう、女子グループと楽しげに話してた。
これがハシユカの、俺に対する最後の復讐だったらしい。
堕ちた獲物には、興味がないって事か?
俺は係長の後を着いて、職員室に向かった。
廊下を歩いても、みんなが俺を指差して噂する。
職員室に入っても、数十人のゴシップ好きが、窓から覗いて俺を見てた。
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