『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めての人でした

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「四季のお義母さん(おかあさん)には正式に挨拶をしたが、まだお義父さん(おとうさん)には、言っていないんだ。女性は隠し事が上手だから正直に話したが、男性は嘘が吐けない人が多いからな」 「送ってくれた時か?」 「ああ。今度、宮崎産のマンゴーを持って、挨拶に行く」 「あ、それ、嬉しい。食いてぇ」  綾人が笑って、俺の泣きぼくろを親指の腹でゆるゆると撫でる。 「四季は、色気より食い気か」  俺たちは、綾人のマンションの寝室で、一糸纏わぬ姿でダブルベッドの中に居た。  テレビの洋画で観た事のあるような、沢山積まれたクッションに身体を預ける綾人の胸に、俺は横向きに縋り付いてる。  もう何回も肌を重ね、愛を確かめ合ってた。 「婚姻届は?」 「理事長に呼ばれた時、書類を書かされなかったか?」 「あ」 「それだ」 「理事長って何者?」 「小鳥遊財閥の、時期総帥だ。二人で相談して、作戦を考えた。だが彼が切れ者だからといって、心変わりしないでくれよ?」  冗談めかすでもなく、真剣に綾人は言う。 「俺は、綾人だけが好きなんだ。他の男も女も、目に入らねぇ。勝手にヤキモチ妬かねぇでくれ」  逞しい胸板に、頬を擦り寄せる。 「綾人」 「ん?」 「俺、高校卒業したら、専業主夫になる。進学はしねぇ」 「良いのか?」 「ああ。俺のお袋、βとして普通に結婚して欲しいって言いながら、小さい頃から料理仕込んでくれたんだ。心のどっかで、αと番って欲しいって思ってたんだと思う」 「そうか。四季の手料理か。それは毎日、帰るのが楽しみになるな」  そう言って、綾人はゴロリと体勢を入れ替えた。 「四季。明日、病院に行こう」 「病院? 何でだ?」 「五十万人に一人の確率で、大人になると属性が変わる者が居る。四季はβだったけど、αの俺に会って発情期がきて、不審に思って自ら属性検査を受けるんだ。これで合法的に、βからΩに戸籍変更出来る」 「それも、理事長の作戦?」 「いや。これは俺が考えた」
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