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二日目:地の文
「……おにぃ」
「……はい?」
「地の文って大切だと思わない?」
「またなんでこんな状況の時にそんなこと言うの?」
「地の文がないと、私達がどこで何をしているのか、いまいち伝わらないと思うのよ」
「まっ……まぁ確かに」
「てなわけで、早速やってみて」
えぇぇ……難しいなぁ。
夕暮れ迫る放課後。とある教室に2人の男女が残っていた。窓から入り込んだ風が、赤色に染まったカーテンを揺らす。
妹の表情を見ると、ほんのりと赤く高揚し、少し上目遣いになりながらこちらをじっと見つめてい_____
「はーい、お兄ちゃん。捏造空想妄想禁止」
「えぇぇ……」
「真面目にやらないと、ほんとに殴るわよ」
「はい。すいません」
俺たち2人がいるのは小さな一室だった。何か手から柔らかい感触が伝わってくる。
それだけじゃない。鼻が触れそうなほど妹の顔が近かった。先程から、妹が話すたびに、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
端的に申し上げますと、今俺は、妹をベットの上で押し倒していた。
「よくできました」
そう言うと、妹の表情は鬼の形相に変わる。
「____さぁ、言い訳を聞こうかしら」
結局この後、ボコボコに殴られ、一時間ほど正座のまま説教されました。
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