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『そのため、来週の見学会は機兵大学のご好意で機兵大学に変更になりましたぁ~』
『マジですか!?』
つい立ち上がってしまった。
なんでだろう、エリス先生の顔が俺の目の前にある。
俺の目の前に知的な凶器をチラつかせながら、親指でヴィットであった物を指差す。
目だけが笑っていない。
『そういう事なんですがぁ、大学自体は普段通り講義を行なっているので、うるさくしないようにしてくださいねぇ~』
クラス全体からとても活気のある返事を確認してエリス先生は聖母のような顔へと戻る。
それにしても…、高等部の見学は行ったことがあるが、まさか大学の見学ができるとは…。口の端が自然と上がってしまう。やめろアミ、俺をそんな目で見るんじゃない…。
翌週、機兵大学の見学会当日。
今日も刺さるように日差しが降り注ぐ。
学校の生徒は大型のバスに揺られて、自分たちの住んでいるメイガロス王国とスコッシュ王国の国境に来ていた。
スコッシュ王国はメイガロス王国と同盟国を結んでおり、友好的な関係にあるためこの検問所は普段から両国の人々が仕切りなしに行き来していて、両国の関係がどのようなものかよく物語っている。
今回は学校の行事のため検問所は通らず、先生が手続きを済ませ横の大きな扉から国境を通過した。
しばらくなんでもない街中を走行していると
『皆さぁん、右側をみてくださぁい、機兵大学の本校舎が見えてきましたよぉ』
エリス先生の指差す方向、進むにつれて山の後ろに隠れていた建物が姿を現した。
他の生徒も『こんなところから見えんのか!?』とか、『すごい大きいねぇ』なんて言いながらザワつき始めた。
俺は以前高校見学の際に見ているため、周りのガキ共のようなはしゃぎ方はしない。
『お前、基本的に喜んでる時の顔が一番気持ち悪いよな』
横で眠たげにしていたヴッィトが流し目でこちらを見ていった。
『お前は言わなくていい事しか言わないよな。』
『アキも言ってたぞ、ニヤついててキモくてウザいって』
『もう俺、立ち直れないかもしれない…』
『大丈夫だ、素材は良いんだから後はお前自身が変れば女の1人や2人できるだろうよ』
『そう思って機兵から離れた時期もあったけど、頭痛とめまいが止まらなかった事があったよ。今思えば良い思い出さ…』
『……なんか、ごめん』
謝るな、そして目をそらすな。
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