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展示施設に入ってからしばらくは白い壁に歴代の学長の写真と、数々の賞状やトロフィーが飾られている長い通路が続く。
正直言ってこの辺りはあまり興味がない。
突き当たりを右に曲がったところから先ほどより広めの部屋が広がっている、ガラスのショーケースに入った物品やら歪に捻れたモニュメントのような物やら、様々なものが展示されている。
全員が部屋に入ったところで振り返ったノワール先生が話し始める。
『さて、ここからが本校の歴史資料の展示室です。ですが、本校の歴史を説明する前に人族と機族とのかつての関係からお話ししておきましょう。人族や蛮族が機族の弾圧を受けていた時代、およそ300年前です。機族は種族の特性で体内に精霊を宿しており、その精霊を媒介とする事で精機兵と呼ばれる機械兵器を操る事を可能にしています。彼らは精機兵による武力で長年にわたり陸上で生活する他種族の繁栄を妨げてきました。その時代を機界ノ時と言います。ですが、我々の先祖は精機兵の技術を模倣して誰もが操縦可能な機兵を作り上げ、機族一強の時代を終わらせるべく革命を起こします。そして起こる戦争が人族革命戦争です。この戦争は人族奇襲による勝利が大きく、今現在でも奇襲に悪い印象を持つ人が少なくないようですが、私は良かったのではないかと思っています。まぁ、その話はここではやめておきましょう。そして、人族革命戦争が終わり人族がこの地に根を下ろしてからの時代を、人界ノ時と呼び発展を続けてきて現在に至ります。この発展にここ機兵大学は長年にわたり大いに貢献してきました。それではここからは展示物を見ながらの説明としましょう。』
長々と話したノワール先生が体を建物の奥の方に向け手のひらで展示物を指して皆を誘導しながら進む。
その後も、創立年やら過去にどのような技術を生み出したかなどの説明をしていく。
『テオ…俺もう限界だ。』
隣でしばしばと瞬きをしながらヴィットが言う。
確かに興味がない奴からすると退屈で仕方ないだろう。
話に集中していて気がつかなかったが、周りを見渡すと他にも眠たげな生徒は多い。
ただ、女子のほぼ全員は目を煌びやかに輝かせて話を聞いている、ただし目線は展示物でなく白髪のイケメンに向かっている。
……。
俺も何だか眠くなってきた気がする…。
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