稲《いな》本《もと》団《だん》地《ち》四街区F棟504号室

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んでいたんだ。  だから、 出来ることならこのままにしておきたい」 「だったら……」 「朱理、 本当は解っているんだろ?  もう、 お祖母ちゃんは居ないんだ。  誰もいない部屋をそのままにはしておけないよ」  おばあちゃんは、 まだいるよッ。  朱理はそう叫びたかった。  おばあちゃんが亡くなったのは解っているが、 きっと魂はまだあの部屋に居 る。  しかし、 魂や霊の話をすると母は物凄く機嫌が悪くなる。 そんなことを言っ たら、 逆にすぐに解約されてしまうかも知れない。 「あの部屋をそのままにしておくには、 家賃が必要なの。 今まではお祖母ちゃ んが払っていたけど、 今はウチが出してるのよ。
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