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俺がマリカの横に座ると、マリカがユーキにこれからの流れを説明していく。
明日以降、ユーキの都合の良いときに三回、トライアルの授業をする。トライアルやから無料やけど時間は一時間だけ。場所もココか下のカフェで行う。
そして三回目のときに俺で続行して良いなら、そこから本契約や。
マリカが本契約になった際に必要な書類や金額、契約書の作成についてなど、わかりやすく丁寧に説明している間、俺はユーキを観察する。
化粧っ気のない顔。少しパサついた長い黒髪。服装は無地のグレーTシャツに黒のカーディガンと黒ズボン。常に目玉がキョロキョロしていて無表情。マリカの話を聞きながらも、俺の存在を気にしてチラ見してくる。
あかん。こりゃ、完全にコミュ症気味やろ。俺を信頼してくれるまでに時間かかりそうやなぁ。三回で攻略できるやろか?
俺はもちろん笑みを浮かべながら、そんな打算的なことを考えていた。
マリカの説明も終わり、トライアルの日時も決まったタイミングで。
「そうそう!田中様、このビルの一階のカフェ、来たことあります?」
マリカの質問にユーキは首を振る。
「下の『スペシャルアイス珈琲』は絶品ですよ!下のカフェも弊社が経営していて、弊社専用の個別スペースが奥にあるんです。もし、この後お時間あれば行ってみません?」
マリカの誘いにユーキは困惑している。
心の声的に「行きたいけど、人とのコミュニケーションに疲れた。帰りたい。でも行ってみたい」そんな感じやろう。
なんだかんだと上手にマリカが誘導していくので、最終的にユーキは了承した。そして、三人で会議室を出た後。
「ほな、マイク。後、頼んだで!」
そう言ってユーキに挨拶をしてから、さっさと事務所に戻ってしまった。
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